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メルボルン便り
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メルボルンでの生活は2006年6月24日で終わりました。ここでの更新はもうありません。今のところは、ブログ活動は休止中です。ここにご訪問いただいた皆様には大変感謝しております。 (如月クロエ)
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同人作家
インターネットという媒体を通じて、誰もが簡単に文章や絵、写真を発信できるようになって、おびただしい情報が日々作り出されている。良いものから悪いもの、千差万別の価値を持つその情報は、的確に選択できない野放し状態で、混沌とWeb内に存在している。利用する人の判断基準によって、その情報が有用無用と振り分けられるのだが、便利さと裏腹に付随している危険性にも十分注意が必要だと、常々思っている。ネット利用するときの心得の基準は、得てして本人の嗜好に沿った方向で決定されるもので、大勢の人間がしていることだからと、非合法なものも正当化されて、ネット上に氾濫することになる。法律上は違法だが原作者に訴えられない限り現実に罪に問われることはないグレイゾーンに属するサイトというものがその中のひとつに存在する。

つい最近、少女時代からの夢が作家になることだという若い人と個人的に話す機会があった。大変な読書家で小さい頃から図書館もフルに活用し、街にでかけると時間の許す限り書店巡りをするという活字中毒のお嬢さんであるらしい。今も書くことに熱中して、自分のサイトを持ち着々と人に読んでもらえるものを製作されていると聞き、大変うらやましいことだと思った。アマチュアであれインターネット作家デビューしてファンレターも増えているのだそうな。ぜひ多くの読者に慕われる素晴らしい小説を書いて欲しいものだと、作家になる道は厳しくても頑張って欲しいなと思ったのだが…。

しかし、その製作しているものが、いわゆる「夢小説」なるものだというと話は少々別方向に。夢小説とは、アニメやゲームなどのキャラクターを用いて設定や名前を借り、原作の話とはほとんど何の繋がりもない恋愛小説を作るもので、ヒロインとなる女性の名前を読者が登録できるようになっている。自分の名前をそこでいれれば、あたかも自分が憧れのキャラと恋愛をしているような錯覚が生じるしくみになっているのだ。たわいもない憧れや夢の世界で、かりそめの恋愛ごっこ。相当、需要が多いらしい。望まれて存在するのだから、それもひとつの文化かなとは思うのだが。原作者の気持ちはどうなんだろうか?

「著作権侵害はどうなのか?」 かねてより聞いてみたかった問題を彼女にぶつけた。答えはあいまい…。上に出てきたグレイゾーンの活動だからである。出版社の規定がきちんとしている漫画には、そういうサイトは作れないらしい。彼女も、それなりに、ここは大丈夫、ここはダメとの判断はした上でのことだと。さらに彼女の無断使用している原作は、そういうサイトの存在でもっているようなものだから、原作者にも異議はないはずだとまで言い切った。原作者自身がその発言をしたというなら、良いのだが、おそらくはそうではあるまい。 なんとも勝手な理由である。

「みんなやっていることだから、かまわない」、「赤信号、みんなで通れば恐くない」の世界らしい。実際に原作者が訴えなければ罪に問われることはないが、それだからといって黙認すれども容認もしてはいない。そのことについてはネット上でも色々な解説ページがあるが、同人作家と著作権の中にも示されているように、非営利のサイトにパロディ作品を掲載する活動についても違法であることは間違いない。

その現実をふまえた上で、何故、「夢」なのか? 既存の漫画のファンに向けてのみ発信するサイトを選び、自分の実力で始めようと、どうして思わなかっただろう。同好の士を集めての、そのサイトで本当に満足なのか・・・?
本物の作家になる「夢」のほうはいったいどうなったかと尋ねてみたところ、オリジナルも書いていて「夢小説」はサイト運営の基礎を学ぶつもりではじめ、教えられることも多々あるのだそうな。「ただの手遊び」とのこと。その小説のクオリティとしては、いかなものか、本物の夢に彼女が到達できるのかどうか、残念ながら私には彼女の発表している「甘い小説」が読めないので、判断のしようがない(読んでも判断できる自信もないが)。彼女が言うには、ほかの同じジャンルのものとは違う人真似でない作品で自信があるのだそうだ。作家に運良くなれても売れればよいという作家になりそうな危惧は、勝手な私の妄想か?
彼女との話の後、著作権についての資料を探してみた。著作権のひろばの著作権を考える童話。   著作権についてわかりやすく書かれ、二人の弟子の発言やたどった道も考えさせられる。「本物」を目指す彼女に、これを一度読んで欲しいと思った。
by melbournedayori | 2004-09-23 08:49 | Webで出会う人々